薬剤部紹介

薬剤部長挨拶 

 薬剤部では、医薬品の適正使用(患者さんの状況に応じた最適な薬剤選択、適切な用法?用量)を推進し、それに基づいた処方薬を患者さんに十分に理解して使っていただくこと、さらには、その効果や副作用を評価し、次の処方にフィードバックすることを使命としています。
 適正使用の一環として、フォーミュラリ(領域ごとに薬物治療の標準化を図り、臨床的有用性の高い医薬品の使用を促進するとともに、医療費を抑制し、医療の質向上を目指すもの)推進やポリファーマシー(多くのくすりを服用しているために、副作用を起こしたり、きちんとくすりが飲めなくなったりしている状態)対策で、より有効で安全な医薬品の評価?推奨や不要な処方薬の減薬などの活動をしています。
 薬剤部の一人ひとりの薬剤師が、患者さんに、安全?安心な医療、医薬品の提供ができるよう医師、看護師などの多職種チームの中で、薬剤師の役割を全うしています。

薬剤部長
嶋村 弘史

概要案内

スタッフ

2024年7月現在
薬剤師数:57名
臨床研修薬剤師:20名
パート薬剤師:4名
事務職員:7名

認定者数及び業績一覧

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業務紹介

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調製

調剤

調剤業務では入院患者さん、ならびに外来患者さんの薬(内服薬、外用薬、一部の注射薬)の調剤を行っています。薬剤師は医師が処方したお薬について適応?用法?用量が適正か、飲み合わせに問題がないか、複数の診療科からお薬が重複して処方されていないかなどを確認し、疑問点や問題点などの疑義は必ず医師に照会しています。電子カルテと連動したオーダリングシステムや人的ミスを未然に防ぐシステム(院内物流システム:マックヒル)を用いて調剤し、患者さんに適切で安全に処方薬を提供できるように努めています。また、個々の患者さんに合わせたお薬を提供するために、お薬の管理や服用しやすい工夫(錠剤を粉薬へ変更、食事などの服用のタイミングに合わせたお薬の一包化など)も併せて行っています。さらにハイアラート医薬品(副作用や健康被害に特に注意が必要で、安全管理のため薬学的管理の関与が必要な医薬品)については適切な患者さんに投与されているのかを必ず確認し、有効?安心?安全な薬物療法に繋がるよう務めています。

注射

注射業務では、処方された注射箋の内容(適応?用法?用量など)が適切であるか、また2種類以上の注射薬の混合に対する配合変化や、同時に使用することで相互作用に問題がないか等を確認します。
薬剤師が確認済みの注射箋は、院内物流システム(マックヒル)にて全医薬品をバーコードスキャンで照合し、取り揃え、1回分毎に、病棟?外来に供給します。
また、抗がん薬を使用する治療では、過去の治療歴を含めて、治療方法が事前に申請?登録されたレジメン(投与予定表)に準じているのか、使用期間?投与量?休薬期間に誤りはないか等を確認します。
手術時に使用される注射薬はセット化し、手術室へ供給?管理しています。

製剤

製剤業務では、主に以下の業務を行っています。

1.院内製剤の調製
「院内製剤」とは病院内で使用されるために作製される薬剤の事で、治療上市販の医薬品では適用できない場合に院内製剤を用います。その使用にあたっては、科学的?倫理的な妥当性を十分に吟味され、また使用する前には患者さんに説明し、同意を得たのちに投薬することになっています。当院で取り扱う院内製剤のうち、特に注射薬や点眼薬に加え、点鼻?点耳?吸入薬などは無菌性が求められるため、クリーンベンチを用いて無菌的に調製します。

2.TPN(高カロリー輸液)の無菌調製
TPNは食事が摂れない患者さんに栄養を注射の形で補給するための輸液です。製剤室では既製品で対応しづらい患者さんのTPNを医師から依頼を受け、クリーンルーム内でクリーンベンチを用いて無菌的に調製しています。二種類以上の注射薬を混合することから混合時の細菌混入や、混合による配合変化にも細心の注意を払って調製業務を行っています。

がん化学療法
当院はがん診療連携拠点病院であり、がん化学療法実施件数は、入院では約750件/月、外来では約3,600件/月であります。安全で効果的な、がん治療を患者さんに提供するために、院内のレジメン審査委員会で承認した治療レジメンのみを実施しています。薬剤部は、医師の処方が承認された治療レジメンと一致し、安全に実施できるか確認しています。治療開始時には、患者さんに治療内容や予想される副作用とその対策について説明指導をしています。また、すべての注射抗がん薬は、安全キャビネット内で無菌的な環境のもと、2名の薬剤師でダブルチェックを実施し、安全な調製を行っています。近年では、入院での抗がん剤治療だけでなく、外来で継続的に抗がん薬治療を行う患者さんも増加しています。当院の外来化学療法では、専任の薬剤師からの抗がん薬治療に関連する服薬説明?指導を行い、生活や仕事との両立を支援するとともに、治療内容や副作用発現状況の情報共有等をおこない、地域保険薬局と連携して患者さんをサポートしています。




医薬品管理

医薬品情報管理室

医薬品情報管理室では、患者さんに最も有効かつ安全な治療を行うための情報を収集?評価?加工して提供しています。
主な業務内容
  1. 医薬品に関する情報収集?評価?提供に関すること
  2. 副作用調査及び報告に関すること
  3. 昭和大学フォーミュラリ作成及び改訂に関すること
  4. 質疑応答及び経過転帰の情報収集と提供に関すること
  5. 昭和大学医薬品集の更新及び整備に関すること
  6. 薬事委員会資料作成に関すること(新薬のヒアリング含む)
  7. 未承認医薬品、適応外使用等の情報収集及び評価に関すること
  8. 研修生及び実務実習生の教育に関すること

薬事

薬事は、院内における医療用医薬品の品質管理?安定供給を通して、円滑な薬物療法を支える役割を担っています。

薬事委員会への関与
有効性、安全性の確保及び医薬品購入費抑制の観点から、附属施設間での採用薬統一、及び採用品目抑制は病院全体の重要な課題となっています。したがって、新規医薬品の採用?削除、及び後発医薬品?バイオシミラーへの切り換えなどは、薬事委員会における慎重な討議を経て決定されます。薬事は本委員会の運営に関わるほか、医薬品情報管理室と連携して委員会資料の収集?作成を行っています。

医薬品在庫管理
医薬品在庫管理は、使用状況、出荷調整?回収といった流通状況を把握したうえで、柔軟な対応が求められます。診療に必要な医薬品が滞りなく使用できるよう発注?入庫?払出を行い、医薬品在庫の適正管理に努めています。また、向精神薬?毒薬等の管理薬は、毎日の払出を記録し、院内物流システムを用いて在庫を確認しています。


治験薬管理
製薬会社が開発する新しい薬は、厚生労働省の承認を受けるために試験が行われますが、これを治験といいます。当院で実施している治験について、治験薬管理部門では以下の業務を行っています。
①治験実施計画書(プロトコール)の治験薬管理手順に沿った治験薬の保管管理を行う
②治験薬の納品受領及び、使用済や試験終了の治験薬を治験依頼者(製薬企業)へ返却する
③治験関連文書(治験薬管理表?治験薬受領書?返却書?その他保管必須とされる文書等)に記録を行い、保管管理する
④治験を遂行するために、治験コーディネーター(CRC)や院内の各部署(外来診療科、外来処置室、腫瘍センター、病棟など)と連携を図り、運用手順を確立する
⑤治験薬(内服薬、注射薬等)の処方セットを電子カルテに登録する
⑥がん治療に係わる治験では、被験者の安全管理のために必要な治療内容(レジメン)に基づき、電子カルテにセット登録する
⑦薬剤師が統一した治験薬の取り扱いを行うために、プロトコールに準じた薬剤部内の手順を確立する
⑧当院の採用医薬品(内服薬?注射薬?外用薬等)の中から併用禁止となる医薬品を抽出し、電子カルテと調剤支援システムにおいて処方制限を設定する
⑨被験者毎にオーダされた治験薬の調製(内服薬?外用薬の調剤、注射薬の混注など)を行う
⑩治験依頼者(製薬企業)による直接閲覧等の対応を行う
治験薬保管庫
保管庫内の温度管理
治験薬の払い出し例



術前外来?患者サポートセンター
患者さんの入院が決まると、入院中に安全かつ安心に療養いただけるよう様々な職種が入院前から準備します。薬剤師は、患者さんが服用中のお薬を確認させていただき、医師と看護師と協働して、手術や検査前に中断する必要がある薬がないか、薬によるアレルギーや副作用歴は無いかなどを確認します。この情報は、入院時に病棟で患者さんを担当する薬剤師にも引き継がれます。
スムーズに患者さんの服用中の薬を確認するためには、お薬手帳の情報は必要不可欠です。病院受診時には、日ごろからお薬手帳を携帯いただけるようご協力をお願いします。
薬剤管理指導
病棟薬剤師は、医師や看護師など多職種で協働して、患者さんが入院されてから退院されるまで、すべての薬物治療に携わっています。当院では、入院棟?中央棟?救急センターを含むすべての病棟に病棟薬剤師を1日体制で配置しています。
入院時は、全患者さんに対して、これまで使用していた薬剤やご自宅での管理状況などの確認を、入院中は服薬説明、治療効果や副作用の有無などの確認をしています。また、医薬品情報管理室と連携して、医薬品の情報提供や様々な状況での他の職種からの問い合わせに対応しています。さらに、薬物治療が病棟薬剤師個々の能力に左右されることがないよう、定期的に薬剤師間で相互に薬物治療の監査をしています。
また、実際の患者さんの容態を把握し、その薬物治療を担った結果として、薬物療法専門薬剤師の資格を取得できるよう日々研鑽をしています。
このように、薬剤師はその専門性を生かしながら、多職種と協働して、患者さんに最善の薬物治療を受けていただけるよう努めています。
聴覚障害者外来

聴覚障害者が安心して医療機関を利用できるために、2007年3月3日から「聴覚障害者外来」がスタートし、これまでに多くの聴覚障害者にご利用いただいています。基本的には慢性的な内科疾患を中心に、医療従事者とのコミュニケーション手段として聴覚障害者本人の希望に応じて手話通訳もしくは筆談によって受診から検査結果説明までを行っています。そして再診が必要な場合は聴覚障害者外来枠で予約を取っています。
現在は手話通訳が不在のため、通常外来の場合、総合受付で申し出ていただければ筆談ボードの貸し出しがされるようになっており、いつでも気楽に医療機関を利用していただける環境となっています。
院外処方で出されたくすりやサプリメント、アンチドーピングの相談などにも対応しています。さらに聴覚障害者が医療に関する知識を得られる場として、聴覚障害者を含めた一般市民対象の医療講演会を開催し、さまざまなテーマに沿って医師や看護師、コメディカルなどによるお話を手話通訳をつけて聞いていただくことも行っています。